ネットで交通事故の情報を検索していると、後遺障害に関係する記事がたくさん出てくると思います。後遺障害と聞くと、市役所等から交付される障害者手帳を連想される方がいらっしゃるかもしれませんが、交通事故事件でいうところの後遺障害は、自賠責の制度上認定されるもので、全く別のものです。
自賠責が認定する後遺障害は、程度が重い方順に1級から14級までありますが、一言で言えば、残った症状を損害額に反映させるための等級付けになります(ですので、自賠責の等級が認定されたことのみで、手帳が交付されたり公的な福祉サービスが受けられたりすることはありません)。
後遺障害の申請の方法は、事前認定と呼ばれる、加害者側の保険会社に行ってもらう方法と、被害者請求と呼ばれる、被害者(弁護士を依頼した場合は主に弁護士)が必要書類を集めて申請する方法があります。
事前認定は、主治医に所定の診断書を書いてもらえれば、あとの手続は相手方保険会社が行うので、手続的な負担は小さいです。他方で、相手方保険会社が申請にあたりどのような資料を提出したかは基本的に分かりませんし、被害者が持っている、認定に有利と思われる資料(例えば衝撃の程度が分かるドラレコの画像等)は提出されません。被害者請求のメリットはこれらの
裏返しということになります。
私としては、基本的に被害者請求をお勧めしており、とりわけ弁護士費用特約を利用できる方であれば、弁護士にかかる被害者請求の申立手数料も保険でカバーできることが多いので、被害者請求で申請することがほとんどです。
また、既に事前認定により後遺障害の申請を行ったが、後遺障害に当たらない(非該当)または抱えている症状に照らして低いと思われる等級が認定されたというケースもあります。
このような場合は、再度審査をしてもらう(異議申立)かどうか検討することになります。異議申立の方法も、事前認定と被害者請求の2通りありますが、異議申立にあたっては、新たな資料が必要であり、しかも種々添付することが多いので、被害者請求によることがほとんどです。