服役中の受刑者が、未決勾留中を理由に失効した運転免許の再取得を拘置所が拒否したのは憲法に違反するとして国家賠償訴訟を提起したとのニュースがありました(R7.7/12付毎日新聞「社会面」より)。未決勾留とは、刑事事件で判決が確定するまで身柄が刑事収容施設に拘束されることをいいます。現状、受刑者(拘禁刑(懲役・禁固刑)が確定し刑務所で服役している人)については、運転免許の再取得の手続きを認める運用がされていましたが、未決勾留者はこれが認められておらず、不合理であるとして問題視されていたようです。そもそも、未決勾留自体、犯行の否認や黙秘を続ける者の身柄を長期間拘束することで自白を強要することにつながる「人質司法」の温床であるとして長年議論されています。
さて、刑事弁護における大きな活動の1つが、未決勾留からの身柄の解放です。通常、身柄拘束は逮捕から始まり、最大23日間続くことになります。その後、起訴され刑事裁判となると、仮に判決で執行猶予が付いたとしても、それまでの数ヶ月間身柄拘束が続くことになります。なお、刑事手続上、起訴~判決確定までの人を被告人、それ以前の捜査対象となっている人を被疑者と呼びます。
被疑者段階の身柄の解放手段としてよく使われるのは、裁判官の勾留決定や勾留延長決定に対する不服申立(準抗告)です。
起訴され被告人となると、保釈請求が可能です。ありていに言うと、保釈請求の方が準抗告より通りやすい面があります。
著名事件では、保釈保証金の金額や釈放後の挨拶の様子などよく報道されています。保釈請求が認められるかどうかは、一定の重大犯罪であること等の条件に該当しなければ、主に、証拠を隠滅するおそれがないかという要件が問題となってきます。もちろん、保釈保証金の用意も必要となりますが、支援してくれる機関があったりします(審査・手数料有)。
少し前に世間を騒がしたいわゆる「ガーシー事件」では、初回公判後に保釈が認められていましたが、これが認められたのも、初回公判で証拠調べが済み、罪証隠滅のおそれがなくなったことが理由と考えられます。